Fab! -Music speaks.-と知念くんの歌声

 

 

新たな楽曲が披露される度にHey!Say!JUMPの歌声がレベルアップしているのを感じる。

 

 

私は歌唱や音楽の技術的な知識は一切無いし、リズム感も音楽センスも限りなく0に近いタイプだけれど、それでもHey!Say!JUMPの新たな楽曲に出会う度、右肩上がりで更新され続ける歌声に驚いてしまう。

2年程前にHey!Say!JUMPの歌声についてブログを書いているのだけど、あの時よりもっともっとJUMPの歌声の虜になっている。常に過去最高を記録していくからすごい。私が広報担当なら新曲が発売される度にボジョレーヌーヴォーみたいな胡散臭いセールスコピー付けちゃっていたと思う。

donranran.hatenablog.com 

ここ最近のJUMPの歌声は凄く滑らかでスッと耳に溶け込む、それでいてしっかりと印象に残る そんな歌声だと思う。

 

その中で歌声の変化が顕著なのは満場一致で中島くんなんだけど、SENSE or LOVE 辺りから歌声の伸び方も表現力もグッと上がったよね。愛だけがすべて-What do you want?-の特典ムービーで「自分はお洒落に歌えないから...」と言っていたのが盛大な前振りだったのでは?と思うレベル。ボイトレに通っているという話をしていたけど、英会話を本格的に勉強し始めたことで舌の使い方だとか息の吐き方だとか、そういうものにも変化が出てきたのだろうか...。中島くんの歌声の変化については是非ともプロの解説を読んでみたいので、なんかそういう機会があればいいな。

 

スキル的なものだと中島くんの変化が一番目立つけれど、個人的には知念くんの歌声が気になっているので、その話をしようと思った。

 

知念くんには元々歌声が安定しているイメージを持っていたし、THEアイドルな甘く可愛い曲もギラつくようなかっこいい曲も難なくこなす器用な人という信頼があったので、例えばBANGER NIGHTの"迷わず叩き潰すBanger night"なんかも「知念くんのパブリックイメージとは違うけど、器用な知念くんなら歌いこなしちゃうよね」という感想で意外性というのは特別感じではいなかった。

アイドルとしてのスキルが平均して高いから「おっ!流石!」と思うことは多々あっても「えっ、こんな事も出来るんだ?!」みたいのがあまりなかったんですよね。

 

それが私の中で変わったのがLucky-Unlucky/Oh! my darling 初回1に収録されていたLast Danceでの「惹かれ合ってたGravity 満ちては欠けたReality 色褪せた光の中で」というパート。

なんというか、それまで知念くんの歌声ってさらっとしたドライな印象だった。冷たいとかではなく、どこか健全な雰囲気というか...。その印象がガラッと変化したのがこの曲。

とにかく歌声の湿度がすごい、生々しさがあるのにそれが何処か幻想的で美しい。いやらしくないのに色っぽい、寂しさの中に温もりがある、なんだか凄く絶妙なバランスで脳を揺らす歌声だと思った。この歌声を聴いて知念くんにはまだこんな引き出しもあったのか、と驚いて息を呑んだ。

 

以前のブログで知念くんの歌声について「世界観を作るのが上手い」と書いたけれど、世界観を作るというより「曲の世界観に自身の存在を落とし込むのが上手い」の方がしっくりくる気がする。楽曲一つ一つにそれぞれの世界があり、人が生き、生活があって、知念くんはそういう曲の世界へスルッと馴染んでいく。その曲の世界へ住む者を演じていると言うより、まるで初めからその世界の住民だったかのように自然に違和感なく溶け込んでしまう。

元々声質が特徴的で曲によって大きく声色が変わるというタイプではないのに、どこか「Hey!Say!JUMPの知念侑李」とは違う雰囲気を漂わせていて、謂わば「パラレルワールドの知念侑李」という感覚に近い...。

 

だからこそ、物語りがテーマなこともあって曲毎の世界観が堅固なFab! -Music speaks.-というアルバムは彼の歌声が持つ魅力ととても相性が良かったなぁと個人的に思っている。

 

ということでFab! -Music speaks.-と知念くんの歌声についての話。前置きが長くなってしまった。まぁオタクなんて総じて話しが長い生き物なのでね、仕方ない。

全曲ではないです。特に印象に残ったところ。

 

 

 

◇Fab-ism

「綺麗な言い訳を考えるように諦めに似た言葉にはどこか」

優しくどこかファンタジック、まるで夢の中を歩いているような曲の世界観と馴染む歌声。こういう曲での知念くんの歌声って爽やかで優しい雰囲気の奥に凛とした強さがあって素敵だなぁと思う。花で言えば白百合、スッと背筋が伸びる気持ちになる。

 

 

 

◇I am

「少し大袈裟かもしれないけど」「でも違う  I am me 楽しくて悲しくて」

感想というか、I amの知念くんの歌声聴くと「貞本義行作画の知念侑李だ!」って思う。凄く貞本義行作画の歌声してる。なんというか線の細い少年性の中にピリッとした緊張感がない?あるよね、あります。

 

 

 

◇狼青年

「怖いものを知らない真実が冷たく光る」「光っても」「さよならは今夜」「安らぎへ」

おどろおどろしいのに思わず手を伸ばしてしまうような耽美で退廃的で、毒だとわかっているのに一度味わうとそれ無しではいられなくなってしまう。そんな中毒性のある魅力が詰まった曲だけれど、この曲の魅力をグッと高めている一つの大きなポイントは知念くんの歌声だと思った。

歌声から一切悪びれた空気を感じない、笑みを浮かべながら無邪気に喉元へ刃を突き立ててくるような雰囲気があまりにも良い。無邪気さ故の残酷さが滲む歌声は少年と青年・僕と俺、二つの対比を強調したこの曲にぴたりとハマる。

何より笑みを浮かべるような「安らぎへ」の歌声が怖すぎるのがいい。あどけなさの残る笑顔に気を抜いた瞬間それまで喉元へ突き付けられていた刃を一気に押し込まれたような、そんな感覚に陥る。本当に怖い、怖いのに美しくて抜け出せない。甘美な絶望を与える歌声だと思った。

無邪気だけど無垢でも無知でもない、それどころか人よりずっと頭が回る。可憐な見た目に思わず手を伸ばしたら棘が皮膚を裂く薔薇の花っぽさというか、そういうダークファンタジーちっくな世界観には知念くんの声が凄く似合うのだなと改めて感じた一曲。

 

 

 

◇Muah Muah

「君は美しいんだ」

White Loveの「最初で最後の恋を始めようよLady」なんかもそうなのだけど、知念くんは歯の浮くようなド直球王子様パートもナチュラルに響かせるよね。上記のFab-ismでも言った「凛とした強さ」がそういう雰囲気に合うのかもしれない、なんというか日常と切り離された気品を持ってる。

 

 

 

「変わることなどないと信じていた」「幾つもの夜を超えて」

「変わることなど~」の寂しげで揺れるような歌声は孤独で切ないシャフリヤールの心情を感じて好きだ。

そして「幾つもの夜を超えて」はこのアルバムの私的知念くんパートランキングトップ3に入る。これは私が勝手に抱いている印象なんですが(というかこのブログ全て私が勝手に抱いている気持ちの話しかしていないが)知念くんって曲に起承転結を付けるなら『転』の締めくくりを歌うのが似合うタイプだと思う。フィナーレに向かってグッと聴き手を引き込むような歌い方をする。

Cメロとかともまた違う転の部分、狼青年の「安らぎへ」も私の中では同じ種類。

 

 

 

◇ ナイモノネダリ

「明日の朝はとても早いのドレス纏って神に誓うの」

聴く度にこの曲の歌い出しを知念くんにしたのは本当に大正解だなぁと思う。愛おしさと切なさと寂しさと期待と不安、たくさんの感情を丁寧に混ぜ込んだ優しいスープみたいな歌声がじんわりと体へ広がっていく。

「曲の世界観に自身の存在を落とし込むのが上手い」と書いたけど、ナイモノネダリはそれが凄く出ていた。ウェンディの結婚前夜を書いた詩なのでこの曲の"私"は知念くんとの共通点のほうが少ないだろうし、知念くんの声質も低くはないけど女性的な高音でもない。それでも「あぁ、この歌声はウェンディだ」と思ってしまう説得力がある。

少女とも女性とも言えるような素朴で切なさを感じるこの歌声が歌い出しな事で曲の世界へ一気に引き込まれるよね。アコースティックver.も好きだからフルで売ってほしい。

 

 

 

◇ 闇の先へ僕らは歩き出す

「花火になって落ちる秋雨 雪へと変わった」

「もうサヨナラの時間が来て最後だと言い訳のかくれんぼ」

Last Danceの話をしたのでお察しの良い方はお気付きかと思いますが、私はこの曲の知念くんの歌声が大好きです。Fab!における知念くんパートの中でナンバーワンと言ってもいい。

個人的にこの曲の"僕"に対する解釈は松任谷由実さんの『やさしさに包まれたなら』でいう「小さい頃は神様がいて」の神様みたいなものだと思っていて、幼い頃にしか見えないイマジナリーフレンドとかそういう類い。年齢を重ね、姿を見る機会が減って、言葉も交わせなくり、最後にはどこにいるのかもわからなくなって、それでもずっと側で見守ってくれている大切な存在。という感覚で聴いているのでそれ前提で喋ります。(厳密にいうと"僕"は自身が生み出した仮想の存在だから"君"と"僕"は同一のイメージなんだけど長くなるので一旦置いとく)

「花火になって~」このダウナーな歌い方が終わりの時を示唆するようで、どうしようもない切なさと焦燥感に胸がざわついてしまう。ここの歌声本当に魅せ方が上手いな~と思った。

「もうサヨナラの時間が~」は穏やかで微笑みを感じるような優しい歌声なんだけど、多分このサヨナラは「また明日」には繋がらないんだろうなと思って胸がしめつけられる。

かくれんぼのハモりって有岡くんかな?最初Jr.辺りの子供のボーカル入れてるのかと思ったほど高く澄んだ声で驚いた。ここの対比がすごく良くて、まるで今(知念くん)と過去(ハモり)の記憶が重なるような演出だなぁと思った。

いやまぁ実際どういう意図をもったものなのかは知らんけど、公式が解説を公開するまでは私は私の解釈で聴き続けるので「こういう解釈の人もいるんだな」と流してください、人の数だけ曲のストーリーはあるかね…。

Fab-ismのキラキラと光りや花びらが舞うような夢とはまた違う種類、霧の濃い森へ迷い込んだような夢を感じる曲だけれど、この曲の幻想的で切ない雰囲気はなんだか凄く知念くんに似合うなと思った。知念くんって時折とても不思議で神聖な空気を纏うイメージがある、それは歌声にも言えるしダンスを踊る姿にもそう感じる時がある。そこがこの曲の世界観と綺麗に馴染んでいる気がした。

 

 

 

 

ザザッと書いたけど「こういう歌い方も出来るんだ?!」と感じたのはナイモノネダリの歌声。昨年中止になった初主演舞台が今年上演される事に決まったけれど、ナイモノネダリの歌声を聴いて知念くん一人朗読劇とかも似合いそうだな~と思った。

 

 

Fab! -Music speaks.-は本当にどの曲も、どのメンバーの歌声もそれぞれ凄く奥が深くて聴く度に新たな発見があって楽しい。アルバム全体のこともメンバーの歌声も気持ちの鮮度が高いうちに文章で残しておけたらいいなぁと思う。

時間が経った時に自分の文章を読み返すと面白いよね、こんなこと考えていたのかっていう驚きとか共感とか。

 

 

 

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。